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October 24, 2016

ソフトウェア定義型インフラストラクチャ(SDI)がインダストリアルオートメーションのデジタルトランスフォーメーションを実現


投稿者:Gareth Noyes

私は今週バルセロナで開催される、インダストリアルIoT(IIoT)の主要グローバルイベントIoT Solutions World Congressに出席します。現在はインダストリアル分野の多くの企業が、デジタルトランスフォーメーションに向けて取り組んだり、実際に経験したりしている極めて重要な時期であるため、このイベントでも洞察に満ちた議論ができるものと期待しています。こうした企業の変革に、ウインドリバーのソフトウェアが重大な役割を果たしていることを非常に嬉しく思っています。

私たちが目にしているこのデジタルトランスフォーメーションの背景について、少し振り返ってみましょう。

インダストリアル分野の企業やメーカーはこれまで、市場環境の変化に柔軟に適合できない、単一業務を実行するための専用のオートメーションシステムに法外な金額を支払ってきました。こうした独自ソリューションは、他製品と相互運用できるように設計されていないため、購入者はそのベンダにロックインされ、コンポネントの選択肢が限定されます。

単一のインダストリアルオートメーションサプライヤーと協力することでメリットが得られる場合もありますが、テクノロジが進化し、アジリティに対する市場の需要や期待が高まるにつれて、欠点がすぐに明らかになってきます。独自システムは購入費用(設備投資コスト)も維持費用(運用コスト)も高額になります。少量しか開発されず、極めて特殊なコンポネントで構築されるため、ベンダはCOTSソリューションに付き物の規模の経済を実現できません。

独自システム間の通信を可能にするために、1990年代にOpen Platform Communications(OPC)標準が策定されたにもかかわらず、相互運用性は依然として課題になっています。システムがますます相互接続されるようになり、デバイスやデータのセキュリティが最大の懸念事項となっています。セキュリティは後から追加できるものではなく、最初から設計に組み込む必要がありますが、オートメーションソリューションのベンダは多くの場合、複数のテクノロジを生かした階層化セキュリティインフラの実装経験が不足しています。

大きな問題は、機能を追加してシステムをアップグレードするにはコストがかかり、手順も難しく、通常はベンダのペースで行われるため、オペレータは最新の技術の進歩やイノベーションのメリットを活用できないという点です。


図1. 独自ソリューションの欠点

インダストリアルオートメーションの開発者は、通信分野の経験から学ぶことができます。かつて通信サービス事業者も、独自機器の独占状態に直面し、これが業界の成長の障壁となっていました。十数社の世界最大規模の事業者が協力し、業界標準サーバに基づく相互運用可能なソリューションへの移行を主導しました。NFV(Network Functions Virtualization)と呼ばれるアプローチです。わずか数年後、通信機器ベンダはCOTSサーバで稼働するソフトウェアベースのネットワーク機能を提供できるようになり、規模の経済やベンダの選択肢の拡大、および相互運用性が実現しました。これらはすべて、サービス事業者だけではなく、エンドユーザにもメリットをもたらしています。

現在、インダストリアルオートメーションの分野でも、同様のデジタルトランスフォーメーションが進行中です。これはSDIによって引き起こされ、IIoTによって実現しています。SDIでは、オートメーションシステムにおける大半のオペレーション・制御機能が、インダストリアル環境のリアルタイム性能の要件を満たせる標準の大量生産COTSサーバで統合できることが前提になっています。これにより、独自のインダストリアルソリューションの代わりに、効率的で柔軟性が高く、俊敏なソリューションを導入できます。SDIはオープンスタンダードとオープンプラットフォームを、インダストリアル分野の要件に合わせてさらに拡大することで、運用コストと設備投資コストを削減し、ITクラウドのメリットを得られます。

SDIアプローチにより、ユーザ、ソフトウェアベンダ、システムインテグレータは、独自ソリューションの場合よりも容易に相互運用可能なコンポネントを開発できます。ソフトウェアとサーバハードウェアは分離されているため、ソフトウェアを簡単に移行・再利用できます。さらに、主なハードウェアプラットフォームはサーバであるため、カスタムプラットフォームの場合よりも少ない労力でセキュリティを確保することが可能です。IT業界はサーバを保護するさまざまなテクノロジを開発しており、こうしたテクノロジをSDIにも導入して、堅牢な階層化セキュリティを構築できます。また、SDIはオープンプラットフォームを基盤にしているので、インダストリアル分野の企業は自由にサプライヤを選択し、最新のテクノロジやプロセスのイノベーションを採用するために協力することが可能になります。

SDIによって実現する柔軟なインダストリアルオートメーションにより、企業は進化を続ける市場環境に、より迅速かつ経済的な方法で対応できるようになります。今後のブログでは、オートメーションソリューションにおけるSDIの役割や、安全で確かなオペレーションを確保するために必要なインフラについて、より詳細に取り上げます。

今週、IoT Solutions World Congressに出席される方は、ぜひこの話しの続きをしましょう。インテルブース(301番)では、日常的に使用されるインダストリアルインフラやシステムの制御、管理、保護に、ウインドリバーのソフトウェアがいかに役立つかを実演します。また、IIoTの革命をもたらすSDIアプローチを、ウインドリバーがいかに採り入れているかを具体的に紹介したいと考えています。